5月下旬、グッドスピードからネクステージに投資先を変更しました。どちらも中古車を扱う会社ですが変更した理由を備忘録として残しておきます。
変更した理由
- グッドスピードの四輪販売台数増加率が不安
- ネクステージの方が戦略的に幅があり、競争優位性が高そう
グッドスピードの四輪販売台数増加率推移が好ましくありません。グッドスピードとネクステージを比較すると以下の通りです。
2019年 | 2020年※コロナ | 2021年 | 2022年 | 2023年(予想) | |
グッドスピード | +36% | +8% | +17% | +15% | +18% |
ネクステージ | +32% | +7% | +14% | +29% | +32% |
グッドスピードの方がネクステージより規模が小さく、販売店数も増やしているのに肝心の販売台数が伸びていません。グッドスピードはコロナや水災害の影響で外部環境に恵まれない時期が続いていますが、直近の23年予想を+30%→+18%に引き下げたことからも「会社としても想定通りになっていない」状況にあります。
一方、ネクステージは規模が大きくなりつつも順調に販売台数を伸ばしています。販売店数自体も増やしていますが、それ以上に販売台数が伸びているのが特徴的です。
こうした結果になった理由は色々と考えられますが(後述)、最重要KPIである四輪販売台数(数字)からネクステージの方が投資先として優れているのではないかと判断しました。
それでは、ネクステージの方がグッドスピードより規模が大きいのに販売台数を伸ばせる要因は何でしょうか。考えた結果、ネクステージの方が「実行できる戦略に幅があり経営陣が強みを理解しているから」なのではないかと思うに至りました。
そもそもグッドスピードは中古車の中でもSUVに特化しており、ネクステージは総合店です。そして、中古車は①「生活必需品の側面が強い」、②「場所、季節、所得状況等によって売れ筋が変わってくる」傾向があります。
まず①について。ネクステージは総合店であるがゆえに、あらゆる車種を取り揃え「世帯取引」が可能です。さすが一家に2台SUVは難しいかもしれませんが、「子どもが車に乗るようになったからもう1台軽自動車がほしい」といった世帯内の取引増加が可能です。
ネクステージはそもそも「車は特別好きじゃないけど、家族に合った良い車が欲しい」という層を得意としているので、こういった顧客には提案力しだいで販売台数を増やせる可能性があります。
次に②について。ネクステージの出店地を改めて見てみると、人口が多い地域に総合店、そして少し地方に買取店(販売も行っている)、地域に合わせてSUV専門店や外車販売店などを出店し、全国をカバーしつつあることが分かります。
基本的に中古車は流通(競売)がしっかりしているので大手の方が価格的に優位に仕入れるということはできません。しかし、「買取力」は別です。全国をカバーするネクステージなら「ある車種について人気のない地域・時期で(安く)買取、人気のある地域・時期で(利益をのせて)販売する」という戦略が可能です。
これは「言うのは易し、行うは難し」です。常に中古車の車種ごとの相場価格や販売店ごとの在庫状況を把握し、最適な管理をする必要があります。しかし、ネクステージにはそのノウハウがあり、その点に強みがあると自負してる点も特徴的です。
中古車相場下落時の対応
令和4年10月~、新車回復に伴い中古車相場の急激な下落がありました。グッドスピードは(SUVに特化してるがゆえに?)対応が取れなかった一方、ネクステージは「在庫の入れ替え・在庫車種の変更(高価格→低価格車へ)、在庫回転率の見直し」等、機動的に動きました。
ネクステージも業績への影響を大きく受けていますが、機動的に対応できたのは全国をカバーする総合店としての戦略的な幅の広さ、経営陣の実行力があったからこそだと考えます。グッドスピードが劣っているということではなく、ネクステージの方が選択できる戦略の幅が広く、ゆえに変化に対応できる強みがあるのではないかと考えました。
ネクステージの今後とまとめ
ネクステージは時価総額で2000億円ほどあり、株価は上場以来すでに大きく上昇しています。将来性という観点ではグッドスピード(時価総額100億円未満)なのかなと思っていましたが、ネクステージの全国に張り巡らされた買取力・販売力・顧客管理力などの強みが発揮されるのは「実はこれから」なのではないかと思うにいたりました。
グッドスピードの損失は痛かったですが、それのおかげでネクステージの強みに改めて気づくことができました。
ネクステージの新規出店(総合店、買取店など)は順調に進んでいること、PERが10倍程度になっていること、自己資本率も高まってきていること等を勘定して投資先を思い切って変更したいと思います。
目先はまだ不透明な部分がありますが、中長期でみれば必ず業績は回復・上昇すると期待しています。
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