過去の投資事例に学ぶ③アシロ

株雑談

これまでの自分の投資を振り返り、何を学んだか記録に残しておこうという企画第3段です。今回は社長と投資家の関係性について考えさせられた「アシロ」です。

投資理由

アシロは法律事件領域ごとに特化された弁護士事務所紹介サイト「ベンナビ」を運営する企業です。

「弁護士個人」に焦点を与えた弁護士ドットコムとは違い、「弁護士事務所」ごとに契約するアシロには法律を基にした高い参入障壁と成長性があり、2022年に投資をしました。

アシロは月次で掲載顧客数を発表しており、月によって新規契約獲得数の波はありましたが年間で見ると安定した成長性(30%程度)と潜在顧客の大きさ(法律事務所の95%以上はこれから)は分かっていたので投資する判断をしました。

なかなか弁護士に馴染みのない日本にとって、得意分野をもつ弁護士事務所を探せるサービスは便利だなとも思いました。

売却理由

2022年12月15日の決算と同時に公表された中期経営計画で、今後2年間を投資期間と定めること、法律事業のみならずマーケティングを競争力の源泉とした事業創造会社(HR事業や保険・その他新規事業にも積極的にチャレンジ)になることを発表しました。

自分は法律事業「ベンナビ」と周辺事業を合わせた成長性及び安定性に注目(会社もこの点をアピールしていたように思う)していたので、率直にいうと「裏切られた!」「ベンナビの事業に絞ってもいいくらいなのに多角化する必要はあるのか?」と感じました。

たしか翌日はストップ安くらいに売り込まれましたが、朝一で迷わず損切りしました。

社長の経営方針と投資家の期待すること

この後のアシロ(2024年6月まで)は良い面・悪い面入り乱れていて評価が難しいです。

良い面

  • 売上は中計以上の進捗
  • ベンナビの成長継続と派生メディアが収益の柱の1つになった
  • 常に新しい事業アイディアがある

悪い面

  • M&Aを行うも見通しが悪くなり、1~2年で減損処理に追われる
  • 月次止める(派生メディアが成長したことで、現在の月次が会社の実態を反映しなくなったためと説明)

評価は難しいですが、社長は弁護士業界に留まらず会社を大きくしていきたい、その過程において失敗はつきものであると考えていることははっきりしました。

たしかに大きな成功を収める会社(例えばソフトバンクなど)は失敗や方針転換を厭いません。現実として多くの会社が上手くいかずに終わるのでしょうが、社会にイノベーションを起こすにはこうした企業があった方が良いとも思います。

しかし、自分の投資方針として「年率15%成長が(安定して)数年は続く企業」に投資したいと考えているのでアシロは投資対象からは外れることになります。

アシロから学んだことは、どんなに魅力的な事業を展開していたとしても自分の投資方針・自分の描く成長ストーリーと社長の経営方針が一致しない企業には投資できない、ということです。

言い換えると、社長の経営方針に賛同できる人が投資すべきで、その時、会社と投資家は最も良い関係性になるのではないでしょうか。

たまに「どんな株主での大歓迎!」と言う企業がありますが、個人的には社長に「私は○○という経営方針をもっている。だから、こういう風に考える投資家に株を持ってもらいたい」という会社の方が気持ちがいいと思っています。

そういった意味で自分の投資対象からは外れますが、アシロの社長は方向性を社内外に示す素晴らしい経営者だと思います。今後アシロがどのような成長を遂げるのか陰ながら応援しています!

ただし、1点注文を付けるなら、「そうした経営方針を持っていたなら上場時から言って欲しかったし、説明資料の作り方も違ったものがあったのではないかなぁ」と思うわけです。

学びポイント

・自分の投資方針や思い描く成長ストーリーと社長の経営方針が一致する企業に投資すべきである

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