『オムニチャネルと顧客戦略の現在』(近藤公彦著)を読む

株雑談

IT技術やスマホの発展から生まれたオムニチャネルの歴史や日米の先進事例などが紹介された本でした。

学術的であるがゆえか前半部分は正直読みづらい・・難しい言い回しであったり、色々な資料(年代もバラバラ)を筆者の主張に合うように並び替えているため「ちょっと無理やりかな」と感じる部分もあったりしました。

しかし、後半部分のオムニチャネル戦略を成功させるポイントは大変ためになりました!以下、いくつか自分が理解した部分を紹介します。

・オムニチャネルは組織構造が複雑化、部門間での知識共有にコストもかかる。そのため、調整能力(ジョブローテーションなど)や吸収能力(外部知識をいかす)が大事になる。

・オンラインと店舗間でシームレスな顧客体験を提供する必要がある。そのためには、在庫の一元管理、料金やポイントの同一化、ショールーミングや店舗でのピックアップなど全体戦略が重要である。

・従業員のモチベーションを高く維持するためにも成果指標(評価制度)の最適化が必要になる。例えば、「EC関与売上」(財務諸上ではだめだが、評価するためには有効)を把握したり、EC→店舗(EC注文→店舗ピックアップ)の場合は、店舗にも売上が配分されるようにしたりと、組織間の協力が促される仕組みを導入する。

・ネットスーパー事業で取り扱いアイテム数が増えれば注文数も増え、同じエリアの配送効率が高まることで採算ベースに乗りやすくなる。

・1度、ECで購入した顧客は実店舗での購入も増える。シングルチャネル・ショッパー(店舗のみ、ECのみ利用)よりマルチチャネル・ショッパーの方が支出額が高くなる。

オムニチャネル戦略はただ導入するだけではコストが大きくなるだけだが、ポイントに気を付けて上手に活用すれば企業を大きく成長させる手段であることが分かりました。

せっかくオムニチャネルを準備してもそれの外(違う企業)で購入されてしまえば意味がないことから、SPAとマルチチャネル戦略の相性の良さ(唯一無二の商品をどのように顧客に届けるか)も実感しました。

こうしたポイントが分かると、オムニチャネル戦略を採用する企業を分析する際に解析度を高めることができそうです!

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