中古車業界の行方と投資戦略

現在、プレミアグループとネクステージという中古車業界に関係する２社に投資しているので、中古車業界は今後どうなっていくのか、またそれに基づいた私自身の投資戦略をまとめておこうと思います。

大手が占める割合は１５％程度

中古車業界の規模は小売で約３．７兆円、年間の中古車小売台数は約２６８万台程度と言われています。

日本は中古車より新車比率が高い国ですが、それでも４兆円に迫る巨大市場、そして整備などを合わせるとさらに大きくなる計算になります。

中古車販売店は全国に２万～３万社あると言われており小規模店が乱立する業界です。2023年現在、大手と言われるビッグモーター（非上場）、IDOM（ガリバー社）、ネクステージ３社合わせても１５％程度と想定されます。（ビッグモーターはここからかなり減らしているでしょう）

反対に考えると約８５％は現在でも中～小規模店が占めており、大手の存在感はそこまで大きくないのが現状です。

ところで、１０年前の中古車市場はどうだったのでしょうか。振り返るとIDOM社で約１％でした。

グッドスピード社の資料を見ても上場企業A（おそらくIDOM社）はやはり10年前は１％程度です。

上場企業AとB（おそらくネクステージ）による寡占化は２０１４年頃から少しずつ始まったと考えられます。過去の決算資料を読み返してみるとIDOM社やネクステージが大型店を出店しだしたのがこの頃です。

中古車業界は日本人口の減少、若者の車離れなどの影響により将来的に縮小すると予想されます。しかし、諸外国に比べて著しく低い中古車市場比率が最近では増加傾向ということもあり、そこまで大きく縮小しないのではないかと考えています。

とすると、これまでの傾向から大手の寡占化は今後も確実に進み、体力のない小規模店から廃業することで優良な中・小規模店が一定程度残るのではないかと予想します。

顧客目線で考えてみても、多数のライトユーザー（車にそこまで入れ込みがない層）は選択肢が多く、ブランド力もある大手中古車販売店を利用し、少数ではあるが車にこだわりがあるユーザーは地域密着、専門店などの優良な中・小型販売店を利用するという棲み分けがなされると考えるのが合理的な気がしています。

つまり、私の中で将来的には中古車業界は次のようになるイメージです。

ビッグモーターは生き残る（形はどうあれ）ものの、ネクステージとIDOM社がシェアを拡大し、残りを優良な中・小規模販売店（プレミアグループの囲い込みが進行中）が占める形となります。

私はこうした将来イメージからネクステージ（大手販売店）とプレミアグループ（優良な中・小規模販売店群）に、一見すると相反する２社に、どちらも成長するイメージがあるため投資することにしています。

ただし、割合はあくまで参考（そもそもビッグモーターは生き残り今より大きくなれるのか疑問）程度ですし、どれくらいの将来にこのような形になるのかも不明です。

一つの目安として、ネクステージは「２０３０年に売上高１兆円」（２０２３年の2～3倍）を目標としているので、その時点でシェア１５％程度となります。（この目標を掲げたのは昨今の中古車業界の不正が明らかになる前なので後ろ倒しになる可能性が大いにあります）

市場自体は飽和状態で大手競合が少なくシェアアップが見込めるネクステージ、現在の８５％を占める中・小規模販売店の中から優良な店舗をグループ化することで自然と売上が増していくプレミアグループには、中・長期で大きな成長を期待しています。

大手がシェアを拡大するとして、ネクステージやIDOM社以外が台頭してくる可能性はあるのでしょうか。

結論からいくと、「結構難しいのではないか」と思っています。

理由としては大型の販売店１つを出店するためには５億～１０億円程度かかり、小規模店には資金調達がネックになるからです。ネクステージにしてもここま大きくなるのに増資や借入を繰り返して、少しずつ拡大してきました。

今から小規模店が出店を加速させようにもやはり資金繰りが厳しく時間がかかります。その間にすでにフリーキャッシュフローがプラスになっているネクステージやIDOM社がさらに拡大する可能性の方が高いと考えています。

SUVという切り口で借入を繰り返し大手に迫ろうとしていたグッドスピードが不正会計でつまずきました。結果論ではありますが、借入に頼る経営はリスクが高く、昨今の中古車業界に注がれる厳しい目からも自己資本がしっかりなければ今後は資金調達は難しくなるのではないかと思います。

ネクステージとIDOM社の2強体制が続くと考えるのが自然のような気がしています。