『渋沢栄一~人間の礎~』(童門冬二著)を読む

株雑談

渋沢栄一の一橋家への士官~パリでの経験~維新後の静岡藩、明治新政府での活躍期などを中心に、その時々に何を考えて行動していたのか描かれていました。

筆者なりに渋沢栄一が人との出会いから受けた影響、志、「論語とソロバン」の精神に行き着いた理由などを探究した大変興味深い内容でした。

このブログのタイトルにも大きく影響している渋沢栄一の生き方に個人的に興味をもっているわけですが、この本を読んで感じたのは渋沢栄一は周りの状況をよく観察し、自分なりの考えでどうすればもっと良く変えられるのか、そのために自分の強みをどう発揮するかを常に考えて行動に移した人だなということです。

筆者の表現を借りると『社会の表に流れている「潮流」や「世論」ではなく、その底にある「地下水脈」に気付く「先見力」を持っている』ということなのだと思います。

渋沢栄一は「徳川家」の存続のために一橋家に仕官したわけではなく、能力のない武士が当たり前に日本を支配する構造を変えることで社会が良くなるということを信じ、その仕組みの実現ができる可能性がある慶喜を補佐するため仕官したというあたりが、渋沢栄一の出発点であると感じました。(その当時の栄一の状況が行き詰っていたということも当然あると思いますが・・)

後にパリや新政府での活動の中で「商人自身が高い志をもって事業を行うことで、官と民の対等な立場(身分に捕らわれない世の中)を実現して社会を良くする」という点が追加されたように感じます。

志に多少の変遷があったにしろ、常に自分そして社会の現状に悲観して諦めるのではなく、その時の最善の方法を考え実行する(そして成果を出す!)ということの繰り返しが渋沢栄一の凄みです。

余談ですが、同じく農民出身である近藤勇や土方歳三が組織した新撰組との出会い、明治初期、官僚主義により一気に殖産興業を進めようとした大久保利通との軋轢など、栄一の生い立ちや志を知るとより味わい深い接点だなと感じました。

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