グッドスピードの不正会計について思うこと

株雑談

以前投資していたグッドスピードの不正会計について、第三者委員会から調査報告書が出されたので思ったことを記しておきます。

グッドスピードの不正会計は多くの経営陣・社員が関与ないし認識していたこと、上場以前より行われていたことなど驚きが多くありました。

調査報告書では主要因を「予算の高い(困難な)設定」にあったとし、予算を達成するため「売上の先行計上(納車テイ)」が常態化していたことが明らかになりました。

また、売上の先行計上は翌期の「先食い」であることから、一度行われると繰り返し行わなければならない「負のスパイラル状態」であったと報告されています。

予算の作成は専務によって行われており、企業会計やガバナンスの欠如も指摘されていますが、自分が一番気になったのは「社長からは昨年対比の目標値を達成できないと金融機関との融資の交渉が難しくなると聞いたことがあり、達成することが必要であった」と述べられている点です。

グッドスピードは、MEGA店舗と呼ばれる販売拠点や在庫を用意しなければならないビジネスモデルで、成長には先行投資が必要不可欠です。先行投資をするのは金融機関からの融資が必要であり、そのためには予算の達成が心理的に絶対条件になっていたのでしょう。

不正に関与していた社員も「不正も会社や社員を守るためにはやむを得ない」という心境になっていたのではないでしょうか。

会社のコンプライアンス意識の欠如も問題ですが、それ以上に仕組みとして不正が発生しやすい条件が揃っていたことに注目すべきだと考えます。懐が厳しくなると不正や犯罪が起こりやすくなるというのは人の常ですが、会社にも当てはまるということかと思います。

グッドスピードは自己資本比率が1ケタ台になるほど借入に頼っていましたが、今回の件から学びを得るとするなら安定した資金繰り、自己資本比率を保っている企業は「一度失敗しても大丈夫」という土壌があるという点でそれなりに評価できるのではないかということです。

グッドスピードはIRが積極的ということで個人投資家から人気が高かったですが、「IRはあくまで会社の一部」「IRが良い=良い会社にはならない」ということを覚えておかなくてはなりません。

もともとグッドスピードには「小規模の販売店が乱立する中古車業界を、大手の力で組織化し、クリーンにしていく」ことに期待して投資していたのですが、全く逆の結果になり残念でなりません。

個人的にも2023年度損失ナンバーワンで高い授業料になりましたが、今後の投資(企業選定)に役立てていきたいと思います。

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