利益率が改善できる企業を選ぶ

投資方針

投資をする上で「利益率が改善できるか」を判断材料の1つにしています。

「元々利益率が高いか」ということよりも「今後利益率がどうなるか」を重要視しています。

利益率の改善を重要視する理由

利益率が改善できるかを判断材料の1つにしている理由は主に2つです。

  • PERが下がりにくい
  • 売上成長+10%でも許容できるようになる

自分の投資方針上、PERの上昇による株価の上昇に期待していません。簡単に言えば投資開始時点のPERと売却時点のPERが同じであればOKというスタンスです。

そのため、利益率が投資開始時点より上昇していればPERは下がりにくいのではないかというのが理由の1つです。そうすると元々利益率が高い企業よりも、今は低くても今後利益率の上昇に期待できる企業を選択しがちになりますね。

2つめに「年率15%成長できるか」を投資基準にしているのですが、利益率が毎期0.5%改善できるならば売上成長が+10%成長の銘柄も投資対象にできることにあります。

ここに売上100の企業Aと企業Bがあるとします。企業Aは利益率8%のまま毎期15%ずつ売上成長します。一方、企業Bは売上成長は+10%ですが、利益率を8%から毎期0.5%ずつ改善できるとします。

さて、どちらが「利益額」を伸ばすことができるでしょうか。

1年目2年目3年目4年目
企業A89.210.512.113.9
企業B89.310.812.614.6

正解は企業Bです。成長率が+10%でも利益率が毎期0.5%ずつ改善できるならば、単純に成長率が+15%(利益率は一定)の企業よりも多く稼ぐことができるのです。

利益率の改善効果はとても大きく、単純に売上成長率だけで企業を選別してはいけない理由がここにあります。

多店舗展開型企業の利益率改善策

自分が好んで投資する多店舗展開型企業は事業の拡大に人や土地への投資を伴うためネット系企業に比べて劇的な利益率の改善は望めませんが、上手に経営すれば少しずつ利益率の改善を期待することができます。

これまでの投資経験から、主に4つの改善策が考えられます。

  • 規模の経済
  • ドミナント経営
  • 商品ミックスの変化
  • 既存店売上の成長

(1)規模の経済

規模の経済は、主に固定費(本社費用など)の削減に効果的と言われます。しかし、変動費についてももボリュームディスカウントによる仕入れコスト削減などで割合を下げることが可能です。「流通の合理化」などもありますね。

(2)ドミナント経営

1つの地域に集中して出店するドミナント経営では、人件費や広告宣伝費などの削減が期待できます。ただし、店舗同士で顧客を食い合うカニバリが起こらないように注意する必要があります。

(3)商品ミックスの変化

従来の主力商品Aより利益率の高い商品Bが売れるようになることで会社全体としての利益率も高まることを期待しています。あえて商品Aを安売りすることで来客数を増やし、利益率が高い商品Bをついで買いしてもらうという戦略もあります。(ドラッグストアはこの戦略ですね)

(4)既存店売上の成長

新規出店に注目しがちですが、既存店の売上が伸びることで全体の利益率を大きく押し上げることが可能です。逆に新規出店の攻勢が続いていても、既存店の売上が減少傾向だと一気に利益率が下がることがあるので注意が必要です。

業種が違っても利益率の改善に至る過程が同じ

利益率の改善に繋がる主な4つの施策を紹介しました。

面白いのは「業種」が違っても多店舗展開型企業であれば似たような過程を通して利益率の改善が図られることです。(多店舗展開型企業を好んで投資する理由がここにあります)

小売りでも介護施設でも葬儀屋でも、経営の中身を見れば同じ過程を通じて利益率の改善が図られているのです。

この気づきを得られて以降、新しく投資を検討する際は企業がどの業種に属しているかよりも経営者が利益率の改善に繋がる施策を用意しているか(また自信をもっているか)を判断の材料としています。

もちろん業界ごとの特性や競合を調べる必要がありますが、全然業種が違くても多店舗展開型企業であれば怖さが少なくなる、という効果を実感しています。

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