企業に十分な成長余地があっても成長スピードはまちまちです。
(成長余地の考え方については、こちらの記事を参照)
自分の投資方針として年率15%の資産運用を目指すため、投資企業も新規出店等で年率15%成長(PERは購入時と一定とする)を狙える銘柄をターゲットにしています。
企業の成長スピードが維持(できれば増加)できるか考える上で次の3つを意識しています。
(1)経営陣の意識
(2)自己資本比率・キャッシュフローに問題ないか
(3)人の採用や育成は大丈夫か
経営陣の意識
まず第一に経営陣がどれくらいの成長イメージをもっているかが大切です。
多店舗展開型企業において、年率30%成長を目指すと言われると「資金は大丈夫か?質が落ちないか?」と心配になるのですが、逆に目標を出さない・数店舗出店する程度といった計画だと「あまり自信や成長意欲がないのかな」と自分の中で投資対象としての魅力が低下します。
中期経営計画や次年度計画で、新規出店を10~20%を目標として掲げているケースが最も投資対象として自分は好みです。
自己資本比率・キャッシュフローに問題ないか
多店舗展開型企業といっても、1店舗作るのに数億円かかえる場合もあれば数千万円の初期投資で済む場合もあります。どちらにしても資金繰りについて考えるようにします。
自己資本比率は業種によっても様々ですが、概ね30~50%くらいが投資対象として適正かと考えています。
あまりに低い自己資本比率だと何かあった時に打つ手が限られ、最悪は倒産という可能性もあります。逆に高い自己資本比率だと「もっと投資できるのではないか」といった疑念が生まれます。ROEも低下しがちです。
キャッシュフローは営業CFで投資CFを賄えるのが理想的ですが、財務CFが大きくなりすぎなければ問題ないかと思います。
多店舗展開型企業は時に増資というのも成長局面で必要になるかと思いますが、できることなら増資を避けたいと思ってしまいます。増資があるか考える上で、運転資金がどれくらい必要になるかもチェックするようにしています。
人の採用や育成は大丈夫か
多店舗展開するには人の採用や育成が大事なのは言うまでもありません。だだし、これが上手くいくかどうか外からは非常に分かりづらいです。
この手の問題を企業に直接聞くと、「人材育成に力を入れている」だとか「システムの見直しを行い業務の効率化を図る」といった答えが決まって返ってきます。(取り組んでいる事実は本当なので嘘をついている訳ではないと思います)
そこで、自分としてはこれまでの会社の実績と退職者の状況から総合的に判断するようにしています。
業界によって差はありますが「人が定着しない」ということは、やはり何かしらの問題が内部にあると考えられるからです。(これは自分の経験を振り返ってみて感じます)
人手不足が叫ばれる昨今、この問題は重要性が増していると感じます。(そもそも社員が幸せではない会社に投資したいと思いませんね)
まとめ
企業の成長スピードを考える上で大切な3つのポイントを見てきました。
「2桁成長」「15~20%成長」というのは投資家として当たり前に求めてしまう部分ですが、冷静に考えると、非常に現場は大変なことであると思い頭が下がります。
IRに問い合わせをする時などは、この点を意識して質問したいものです。
最後に、多店舗展開型企業を投資する上で成長スピード(新規出店数)は非常に大切な問題ですが、同じくらい大切なのが「既存店売上」です。それは別記事で考えたいと思います。
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