多店舗展開型企業は複利の力で成長する

株雑談

自分が好んで投資する「多店舗展開型企業」はビジネスモデルが分かりやすい、成長を予測しやすいという利点があります。

しかし、最近、自分が尊敬する投資家の1人『suriaちゃんのバークシャー☆ハサウェイ』とある記事を読んでいて、多店舗展開型企業は「複利の力を発揮しやすい」という利点もあることに気付きました。完全に後付けですが、実は中長期投資の王道な投資法のようです。

高ROEを複数年維持するのは難しい

「複利の力」を考えるために、ROEの話から始めます。

ROEは「当期純利益÷自己資本」で計算できる指標です。単年で見ると「いかに少ない資本で多い利益を得るか」ということを図る指標ですが、高ROEの複数年維持は「年々増える自己資本に見合った利益をあげ続けているか=複利の力を発揮できているか」ということが分かる指標になります。

しかし、複数年に渡って高ROEを維持するのは簡単なことではありません。

なぜなら「多くなった自己資本(分母)で、より多くの利益(分子)をあげる」というのは、世の中・企業の構造上難しいことだからです。

一般的に、より多くの利益を得られる事業を見つけるのはとても難しいことです。世の中、様々な企業がひしめき合っているわけですからね。新規事業を成功させるのは並大抵のことではありません。

一方、「少ない資本で大きな利益をあげられる」IT企業は一般的に優等生的なイメージがありますが、「大きな利益を次にどう使う?」という問題が生まれます。翌年も少ない資本でさらに成長できれば言うことなしですが、言葉で言うほど簡単ではなく、「少ない資本で成り立つ事業」は、参入障壁が低いために他者に真似されるリスクもあります。

こうなってくると必然的にROEの低下が起こります。高ROEを維持できる企業は非常に限られるわけです。

そこで「多店舗展開型企業」です。ピーンときました。「多店舗展開型企業」は、単純に言うと店舗を増やせば利益が多くなるわけですから、利益により増えた自己資本を投資してより多くの利益を得ること(複数年の高ROEの維持)が可能なのです。

もちろん店舗を拡大するのは簡単なことではありません。しかし、年々大きくなる自己資本の使い道がはっきりしている(しかも勝ちパターンがある程度見えている)という点は、複利の力を享受できる可能性が高いということを意味します。

バフェットが言う所有すべき企業とは?

ROEを重要視していると言われるバフェットは、こんなことも語っています。

所有すべき最も良い企業は、長期間にわたり大量の資本を利用し、非常に高い利益率で増やしていくことのできる企業です。

「バフェットからの手紙」第五版213項

この「大量の資本を利用し」という言葉をみた時に、自分は「多店舗展開型企業」を想起しました。工場を新設して売上を伸ばしたり、広告宣伝費を多く投入して顧客を獲得したりといったパターンの企業も当てはまると思いますが、まず浮かんだのは店舗を増やすことで売上を伸ばす企業です。

また、『三位一体の経営』の著者である中神康議氏は、その本の中で経営のパターンを紹介しており、

「複利の経営は、利回りの経営のように投下資本に対する単年のアウトプットの大きさを喜ぶのではなく、そのアウトプットを再投資に回すことで追加的なリターンを得ていく。これを高い水準で長期間持続させることによって、投下資本そのものが増殖していくことを狙う。長期的な株価と関連する」

ということが語られています。

バフェットの言葉と重なる部分を感じます。そして「多店舗展開型企業への投資は複利の力を享受し、関連する人々を幸せにするための有効な方法なのではないか」と感じたわけです。

多店舗展開型企業なら何でも良い、というわけではない

「多店舗展開型企業」への投資は、中長期投資の王道である複利の力を利用する投資である、と言えるのではないかと思います。

当然ながら多店舗展開型企業なら何でも良いわけではありません。

「店舗網を拡大できるか(市場の大きさと成長スピート)」「利益率を少なくとも維持できるか」「キャッシュフローは回るのか」「競合にやられないか」等々、投資をする(続ける)ために検討しなくてはいけないことがたくさんあります。

しかし、「多店舗展開型企業」への投資は単純に分かりやすいという利点以上に、複利の力という観点からも検証に値する投資方法のような気がしています。ま、後付けなんですけどね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました