先行投資→成長のサイクルを見極める

投資方針

企業の成長には(先行)投資が欠かせません。しかし、一般的に先行投資は減益になりやすく、株価を下落させる要因になります。今回はこの「先行投資」をどのように捉えるか考えていきたいと思います。

先行投資のリスクをどう捉えるか

企業が成長するためには、土地や人、商品開発、広告宣伝などへの投資が必要不可欠です。

しかし、先行投資は必要不可欠でありながらも短期的には業績へのマイナスな影響(減益)になりやすく、市場では株価がよく下がります。

これは一般的に先行投資が利益に繋がらない(固定費が重くなっただけなど)場合も多く、リスクを嫌う投資家は「投資を行いつつも増収増益を継続できる企業」についつい目移りしてしまうからです。

たしかに先行投資にはリスクを伴いますが、多店舗展開型企業に限れば上手くいく可能性が高いのではないかと考えています。

多店舗展開型企業は成功したビジネスモデルを横展開して成長していくので、すでに「どのくらい投資すれば」、「どのくらいの期間で回収でき」、「どのくらいの売上(利益)成長に繋がるか」ノウハウがあるはずだからです。

この「成功しやすいリスク」があるからこそ多店舗展開型企業への投資は魅力的なのですが、自分としてはより成功確率をあげるため、共通してみている点があります。

  • キャッシュフローや自己資本率を考えての計画的な投資か(将来的に増資の可能性はあるか)
  • これまでの投資と違う点はどこか(出店地域や採用人数など)
  • 説明資料に出てくる言葉のニュアンスに経営陣の自信は感じられるか(「想定通り」など)

これらが自分の中で納得できれば、株価が下がったとしても自信をもって継続保有できます。むしろ、最近は積極的に(多少ポートフォリオのバランスが崩れても)買い増しを検討するチャンスなのではないかとも思っています。

先行投資が上手くいった事例

先行投資が上手くいった事例として、2022年~2023年のきずなホールディングスが挙げられます。きずなホールディングスの23年5月期は「減益予想」スタートではありませんでしたが、出店スピードをあげるため店舗開発や人員に投資し利益の伸びが抑えられる計画でした。

1Q決算では前期比で営業利益-5.5%、進捗率16%が発表されると株価は1120円ほどから1000円ほどに急落。その後も910円ほどまでに下落しました。

しかし、ここで大事なのは1Q決算説明資料で「投資は対比順調に進捗」「利益進捗は期初計画通り」と繰り返し述べられていた点です。

結果的に、23期本決算はほぼ期初計画通り(わずかに上回って着地)しました。ほぼ期初計画通りに着地しただけなのに株価は一時1900円近くまで(わずか1年の間に底値から2倍!)上昇しました。

23年5月期のきずなホールディングスを取り巻く環境は大きく変化し、単純に決算発表だけで株価が動いたわけではありませんが、先行投資→(進捗良好、経営者を信じられる)→成長(の見通しが立つ)のサイクルを捉えられれば大きく資産運用に貢献することが分かる好例となりました。

先行投資後は業績ではなく、KPI進捗(きずなホールデイングスでいえば店舗開発と人員増加)、社長の「計画通り」という発言を信じられるかがポイントだったと思います。

事例から学ぶ

上記を踏まえ、現在、保有銘柄で先行投資サイクルにあるのはユナイト&グロウです。

ユナイト&グロウはシェアード社員の増員を図るべく、販管費に先行投資をしています。2Q時点で営業利益が前年比-20.5%と業績は低迷しており、株価も1Q発表で下落(下図、緑の丸印)後、低空飛行中です。

しかし、最重要KPIである採用が2Q単体過去最高の33人と結果が出ており、今期の重点計画の値上げも上手くいっています。そして何より社長からは「順調に進捗している」という言葉も聞かれます。

きずなホールディングスの例から、現在は絶好の投資チャンスではないかと思います。仮に今期業績が上手くいかなかったとしても、現在PERが14程度で高PERではないこと、半年後には来期の業績予想がでて予想PERも変わることから大失敗はないのかなと思っています。

「多店舗展開型企業」に投資対象を絞っているからこそ、こうした先行投資→成長のサイクルを見極め、リスクを取れるところは果敢に攻めていきたいです。

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