ネクステージ「INTEGRATED REPORT」(統合報告書)が面白い!

銘柄分析

ネクステージが22年から発行を始めた「INTEGRATED REPORT」(統合報告書)が面白いです。

「統合報告書は決算内容を修飾してまとめたもの」という認識でしたが、ネクステージのそれには関係者のインタビューが入っていて会社理解にとても有意義なものだと感じました。

いくつか気になった個所を紹介します。

会長や社長の声から現在の問題意識が分かる

創業者の広田会長と浜脇社長のメッセージがそれぞれ2~3ページで紹介されています。そこでは、中期経営計画や2030年ビジョンの達成に向けて、今どんな問題意識をもっているのか、どんなことに取り組んでいるのかが紹介されています。

キーワードは2022年版が「NーBOOK」、2023年版が「マネージャー層の強化」だと読み取りました。

「NーBOOK」はネクステージの業務標準化マニュアルのことです。2010年代半ば、広田会長が会社を大きくしていく中でいかに品質を守るか、競争力を高めるかを考えた時に導入されたものです。

何かしらの競争力があるビジネスモデル(店舗運営)を多店舗展開する際に、いかに品質を落とさず拡大していくかは大事な課題です。ネクステージは「NーBOOK」に落とし込む(それを改善していく)という方策で、競争力をより強固にしていこうと考えたようです。

「NーBOOK」への本気度は、社外取締役に松井忠三氏(無印良品でMUJIGRAMという業務標準化マニュアルを導入された方)を招聘したことからも分かります。現場に根付かせ、改善を通して人材育成をも可能にする極意を直に教えてもらう狙いがあったようです。

次に「マネージャー層の強化」。これはN-BOOKが絵に描いた餅にならないように、いかに現場に浸透させるか、現場の気づきを汲み上げてN-BOOKに反映させるかがポイントで、やはりそこには人(マネージャー層)の存在が欠かせません。

社員のインタビューから、現場にどう落とし込もうとしているのか分かる

各部門の執行役員から一般社員まで、現在取り組んでいることや働きやすさについてのインタビューが掲載されています。

素晴らしいなと思ったところは、会長や社長が話しているキーワードが社員のインタビューからも出てきているところです。経営陣と一般社員の意識のずれがある組織は多くありますが、この一体感(経営陣と社員の課題共有力とでもいいましょうか)がネクステージの強みにつながっているように感じました。

もしかしたら「INTEGRATED REPORT」の編集でそのように見えているだけかもしれませんが、意識的に作られていることは確かでIRとして魅力的です。ネクステージは個人投資家向けの説明会があまりなく寂しい所ですが、実態を伝えてくれる等身大のIRをする企業だと感じました。

社外取締役の存在意義が分かる

今回のレポートで一番興味深かったのは、社外取締役のインタビュー・対談が掲載されているところです。一般にあまりなじみのない社外取締役ですが、どういった点から経営に関わっているのかが分かり非常に企業理解が深まりました。

上にも書きましたが、社外取締役の一人は松井忠三氏なんですね!

「N-BOOK」の存在・活用・改善がネクステージの競争力の源泉で、いかに大事にしてるかが伝わってきました。

他の2人も組織マネジメントや労務・人材育成に知見のある方です。ネクステージの取り組みを見てみると、彼ら社外取締役の意見を反映させたであろう取り組みが多く見受けられます。

大変失礼ながら、「社外取締役って影響力があるんだな!名ばかりではないのだな」とネクステージを通して初めて知りました。

まとめ

ネクステージは自分が投資している企業の中で最大の企業規模(時価総額)です。

大きいがゆえの課題(組織マネジメントや管理と執行の分離、人財育成、経営陣と一般社員のコミュニケーションの在り方など)に取り組んでいる様子が分かり、時価総額100億円未満の小型株への投資とは少し違った魅力があるなと思いました。

時価総額が大きいといってもまだまだ年率15%成長を期待できますし、自分の見識を広げるためにもネクステージをチェックしていきたいと思います!来年の「INTEGRATED REPORT」も楽しみです!

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